ビットコイン

仮想通貨(暗号資産)の代表格ビットコインとは

仮想通貨(暗号資産)と聞くと、最初に連想されるのはやはりビットコイン。

今日はこのビットコインの成り立ちと仕組みについて書きたいと思います。

開発の目的は、ネット上で低コストかつ安全な取引を実現するため

仮想通貨の元祖でもあるビットコインは、謎の人物サトシナカモトが2008年に発表した論文が始まりとなって、生まれました。

サトシナカモトがビットコインを開発した目的は、ネット上で低コストかつ安全な取引を実現するためです。

インターネット上の商取引では、下記のような問題があります。

  1. お金のやり取り(送金等)には、信頼できる金融機関の介在が必要で、取引にかかわるコストが高い
  2. このコストのために少額取引が難しい。
  3. ネット上でお買い物をするときは、販売者は自社サイトに堅固なセキュリティを構築する必要があり、購入者に関する多くの情報を必要とする。またその個人情報の管理にもコストがかかり、ハッキングの脅威に常にさらされている
  4. ネット上の取引では、一定割合で詐欺が存在する

たとえば、海外にいる人に銀行経由でお金を送金する場合、送金に関わる銀行ごとに手数料がかかります。下記に示す手数料は日本の銀行で必要なもので、かつ送金時に様々な本人確認書類が必要になります。それだけでなく、海外の銀行でも手数料がかかるので、手数料の合計がいくらになるかは、最後にならないとわかりません。

例 三井住友銀行の場合         店頭窓口
当行海外支店/現地法人/連携銀行あて  3,500円/件
海外他行あて                                      4,000円/件
※上記金額は2019年7月31日現在のものです。
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こういった取引は、銀行、ショッピングサイトを経営する会社などの存在があり、利用者はそれらの組織を「信用」(trust)して、お金を託したり、買い物をする際に個人情報を提供したりしています。

しかし、サトシナカモトは「必要なのは信用ではなく、暗号学的証明に基づいた電子取引システム」(an electronic payment system based on cryptographic proof instead of trust)だといいます。信用できる機関がない(trustless)環境でも、システムによってネット上での安全な取引を実現できるというのです。

 

安全な取引を実現するうえで解決すべき問題

どんなシステムを使用しているにしても、安全にお金をやり取りするには、下記の問題を証明する必要があります。

  1. 送金者が本人であること(悪意のある第三者による送金者のなりすましを防止する)
  2. 送金者が二重支払いをしていないこと

信用のある第三者機関が介在していれば、上記2点を保証してくれますが、それがない状態ではどのような方法かあるでしょうか。

その問題を解決するのがブロックチェーン(分散型台帳技術)

上記の問題を解決するための技術が、ブロックチェーン(分散型台帳技術)です。

ブロックチェーンとは、簡単に言うとデータをまとめたブロックをつないだものです。

ビットコインで使用されているのは、下記のブロックチェーンの技術です。

送金者本人の証明→デジタル署名

秘密鍵、公開鍵の暗号を使用することによって、本人確認を行います。

二重支払いの防止→Proof of Work、P2Pネットワークによる情報の共有

複数のトランザクション(ビットコインのやり取りを記録した取引情報)をまとめて、それらを改ざんできないように暗号化し、そのブロック情報をネットワークに参加する全ノード(※)で共有します。全ノードが承認したら、そのブロックの正当性が認められます。

※ノード: ネットワークに接続されているコンピュータ

*デジタル署名、Proof of Workの仕組みについては、また改めて詳しく書きたいと思います。

 

誰がブロックチェーン技術を支えているのか

信頼できる第三者機関がない環境で、このブロックチェーンを支えているのは誰でしょうか。

それは、P2Pネットワークに接続されているすべてのノードです。なかでもマイナー(採掘者)と呼ばれる人(組織)が、ブロック生成を行います。

ブロックを生成するには、ハイスペックな計算能力を持つマシンとそれを動かす大量の電力が必要になります。

その大変な作業への報酬が、ビットコインです。

新しいブロックが生成されると、新たなビットコインが発行され、そのブロックを生成したマイナーへの報酬になります。また、トランザクションで発生した手数料もマイナーへの報酬になります。

ブロック生成の報酬は、2019年7月31日現在、12.5BTCです。約4年ごとにその報酬が半分になる半減期が設定されていて、次の半減期は2020年頃ではないか予想されています。

ブロック生成の流れ

  1. 新しいトランザクションが発生すると、それが全ノードに送信されます。
  2. ある程度のトランザクションがたまったら、マイナーはそれらを集めてブロックを生成します。Proof of Workを用いて、複雑な計算をしてブロックを生成。
  3. ブロックの生成が完了したら、それを全ノードに通知します。この時、複数のマイナーがブロック生成をしている可能性がありますが、一番早くブロックを生成できたマイナーが報酬を受ける権利を得ます。
  4. 各ノードが、そのブロック内のトランザクションが正しいものかどうかを検証。つまりP2Pネットワークに参加する全ノードがブロックの正当性を監視しているのです。
  5. そのブロックの内容がノードに承認されたら、ブロックチェーンの最後にそのブロックが追加されます。そのブロックを生成したマイナーが報酬を獲得します。

 

ビットコイン取引におけるプライバシー

信頼できる第三者機関を介在させる取引の場合、利用者は、第三者機関に自らの個人情報を提供する必要があります。

第三者機関は その個人情報を管理し、漏えい防止のために厳重なセキュリティをかけることが求められています。

では、ビットコインの取引における利用者のプライバシーはどうなっているでしょうか。

ビットコインの全取引は、インターネット上でいつでも誰でも参照することができます。送信元のアドレス、送金額、受信先のアドレス等もすべて見ることができます。しかし、そのアドレスの所有者はわかりません。取引内容はわかっても、「だれ」がその取引にかかわっているのはわからない仕組みになっているため、利用者のプライバシーは守られています。

 

ビットコインのシステムが抱える問題

ビットコインを支えるブロックチェーンのシステムでは、インターネットを通じて、だれもが安全にかつ安い手数料で、送金できます。そのシステムの維持にはだれでも参加でき、それらの関係はフラットで、公平。悪意のある攻撃者ではなく、善意のサポーターが正当な報酬を得る画期的なシステムです。

しかし、ビットコインが登場して10年たち、多くの問題が見えてきました。

ビットコインの価格の急騰

マスコミ報道、キプロス危機(2013年キプロス共和国で起こった金融危機)などによって、多くの人がビットコインに注目。ビットコインに投資する人が急増した結果、ビットコインの価格が急騰し、その後暴落するなど、価格が乱高下するようになりました。

→ビットコインの価値が定まらないので、送金、決済のツールとして使いにくい。

一部のマイナーによるマイニング寡占状態

マイニング競争の激化によって、一部のマイナー(組織)がマイニング専用機を開発し、大量の電力を使用してマイニングをするようになりました。その結果、報酬であるビットコインが一部のマイナーに独占されるようになりました。

→一般の人のマイニングはほぼ不可能。

→マイニングのために使用される電力量が膨大になり、環境問題にまでなっている

一般の人向けの仮想通貨交換業者の登場、発展

上にも書いたように、現在、一般の人がマイニングに参加するのはほぼ不可能なので、ビットコイン取得のために仮想通貨交換業者が必要になりました。

その後ビットコイン人気に比例するように交換業者が増加。その結果大量の資金、仮想通貨が集まるようになり、ハッキング、コイン流出の被害が多発。

ブロックチェーンのシステム自体はいまだにハッキングされていないのですが、交換業者のシステムのハッキングが世界各地で発生しています。

→仮想通貨への不安が高まる

→交換業者の利用者保護の問題が発生

交換業者では、利用者の個人情報が必要である

ビットコインのシステムでは、利用者のプライバシーが守られるために、マネーロンダリング、テロリストの資金源となる可能性が出てきました。それを防ぐために、交換業者では、個人の身元を管理するようになりました。

→利用者は、交換業者への個人情報を提出する必要があり、交換業者はその情報を管理する必要がある

ビットコイントランザクションのスケーラビリティ

ブロックの容量は、最初から1MBと決められていますが、取引量の増加によって1MB以内に納めることか難しくなってきました。

→処理に時間がかかる。送金にも時間がかかる

→これを解決するのに、ネットワーク参加者のコンセンサスが得られず、ビットコインは分裂した

今後、これらの問題はどうなっていくのか、見守っていきたいと思います。

 

参考文献
「ビットコイン: P2P電子通貨システム」 Satoshi Nakamoto  日本語版 英語版
「ビットコインはどのようにして動いているのか」 大石哲之 tyk publishing
「ブロックチェーン」 岡嶋裕史 講談社ブルーバックス
「アフター・ビットコイン」 中島真志 新潮社
暗号資産への脅威と対策  岩下直行 デジタルプラクティス Vol.10 No.3(July 2019)